AI活用研修 第1回

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株式会社DonGo / AI 01

AI活用研修 第1回

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研修実施:2026年5月 / このページ:2026年11月に作り直し。AIサービスの名前・料金・設定画面は変わりやすいので、研修時点の印がある内容は、使う前に公式画面で確かめてください。
AI TRAINING / VOL.01
作業を任せるな、
AIと一緒に考えろ。

考える力を伸ばすAIの使い方。131ページの研修資料を12章にまとめました。各章の最後にふり返りチェック、最後に○×テスト(30問)があります。チェックと回答はこの端末に自動保存されます。

最重要:AIに入れてはいけない情報があります

お客様の個人情報・契約内容、クライアント名・取引条件、社内の数字、パスワード。迷ったら入れない。

本日のゴール

  1. AIを「考える相棒」として使えるようになる答えを丸投げするのではなく、思考を深めるためにAIと対話できるようになる
  2. 事業の現場でAIを使い分けられる離職・交渉・クレーム・採用など、よくある場面でAIをどう使うかが分かる
  3. 安全に使うためのルールが身につく業務情報・取引先情報の取り扱い、ハルシネーション(AIのもっともらしい嘘)への対処を理解する
  4. 「自分で考える力」が伸びる使い方ができるAIを使うほど思考停止する人ではなく、AIを使うほど賢くなる人になる

目次(タップで章へ)

ふり返りチェック 0 / 0○×テスト 0 / 30
全章のチェックとテスト回答を消します。よろしいですか?

チェックと回答はこの端末のブラウザにだけ保存されます(ほかの人には見えません)。プロンプト例の「コピー」を押すと、そのままAIに貼り付けて使えます。

1はじめに:AIってそもそも何?一度も触ったことがない人も、ここから›
1-1

AIは「賢い相談相手」

AI=Artificial Intelligence(人工知能)。難しく考えなくて大丈夫です。この研修では「賢い相談相手」と思ってください。

  • 質問すれば答えてくれるソフトウェア
  • 文章を書いたり、整理したり、考えたりしてくれる
  • 24時間いつでも使える、疲れない相談相手
  • 普通の文章で話しかければ、普通の文章で返ってくる
  • 難しい操作・ボタンの覚え方は一切不要
「今までのアプリ」とはまったく違う、新しい道具です。スマホで天気を聞くのと同じ感覚で、今日から誰でも使えます。
1-2

AIと普通のアプリの違い

これまでのソフトウェアと3つ並べて比べてみます。

電卓CALCULATOR

  • 数字を入れる
  • ボタンを押す
  • 計算結果が出る
  • 誰がやっても同じ結果
  • 「計算」しかできない

WordOFFICE

  • 文字を打つ
  • 保存できる
  • 印刷できる
  • 人間が書く
  • ソフトは記録するだけ

AINEW

  • 質問する
  • AIが考える
  • 答えが返ってくる
  • 質問の仕方で答えが変わる
  • 何でも相談できる
「考えて答える」点が、これまでのアプリと決定的に違う
1-3

どうやって使うのか?

パソコンかスマホがあれば、誰でも今日から使えます。

  1. インターネットにつながっていればOK特別な機械はいりません
  2. 専用のサイトかアプリを開く例:Googleで「ChatGPT」と検索
  3. 画面の「メッセージを入力」欄を見つけるそこに普通の文章で質問を書く(「今日の天気は?」のように)
  4. 「送信」を押すと、AIが答え始める数秒〜数十秒で返ってきます
  5. 答えを読んで、続きの質問をするさらに会話を続けられます

新しいアプリを覚えるより、「誰かに質問する」感覚に近いです。

1-4

AIとのやり取りはこんな感じ

普通の言葉で質問するだけ。会話のように続けられます。

あなた携帯ショップ業界の今後について、簡単に教えて
AI携帯ショップ業界は今、転換期にあります。主な変化は次の3つです。
  1. オンライン契約の普及で来店数が減少
  2. 来店者あたりの提案価値の重要性が増大
  3. 通信以外(電気・端末下取りなど)の収益の多角化
あなたもう少し短く、1行で
AI来店数が減る一方、1件あたりの提案力と通信以外の収益づくりが重要になっています。
会話のように何度でも追加で質問できる。これがAI活用の基本です。
1-5

何が新しいのか?「検索」から「相談」へ

知的な仕事のやり方が変わりました。

BEFORE検索

Googleなどで自分で調べる

  • 「携帯ショップ 来店数 減少」で検索
  • ニュース記事・論文のリンクが出る
  • リンクを1つずつ開いて読む
  • 自分で要約する必要がある
  • 数十分かかる
自分の頭と時間を使う

AFTER相談

AIに質問して答えをもらう

  • AIに「携帯ショップの来店数減少対策を3行で」と聞く
  • 答えそのものが返ってくる
  • そのままメモ・資料に使える
  • 追加の質問で深掘りできる
  • 数秒で済む
AIの力を借りて時間を作る
1-6

AIを怖がらなくていい理由

新しい技術を前にすると、誰でも不安になります。でも、AIは怖くありません。

  • 動物のように噛みつかない。話しかけても安全
  • 何度同じことを聞いても、AIは怒らない・呆れない
  • 「間違えたらどうしよう」のプレッシャーがない
  • ブラウザを閉じれば、ただのアプリ終了
  • 課金しなければ、お金は一切かからない
  • 会話の履歴は自分のアカウントでしか見られない(同僚や家族に見られない)
補足ただし、入力した内容はAIの運営会社のサーバーには残ります。「自分しか見ない」からといって、お客様やクライアント様の情報を入れてよいわけではありません(第10章)。
失敗してもダメージはありません。とにかく一度、触ってみる。
1-7

ただし、最低限の3つの注意

楽しく使うために、最初に「3つの注意がある」とだけ覚えておきます。詳しくは後の章で扱います。

  1. 01
    個人情報・取引先情報は入れない無料版は入力内容がAIの学習に使われる可能性がある → 第10章
  2. 02
    「絶対に正しい」とは思わないAIも間違える。重要な事実は必ず別に確認する → 第9章
  3. 03
    重要な判断は自分でするAIに「決めて」とは言わない。判断と責任は必ず人間 → 第7章
1-8

用語整理:これだけ覚えればOK

用語意味
プロンプトAIへの質問・指示の文(「メール書いて」など)
チャットAIとの会話(一連のやり取り)
ChatGPT/Claude/GeminiAIツールの名前。代表的な3つ(第4章)
モデルAIの「型」。サービスごとに名前と番号が付いていて、次々に新しい型が出る。新しいほど賢い
学習AIが大量の文章を読んで賢くなる仕組み
ハルシネーションAIが平気で嘘をつく現象(要注意・第9章)

全部覚えなくてOK。「プロンプト=質問」だけ押さえれば十分です。

この章で持ち帰ることAIは特別な機械ではなく、誰でも今日から使える「相談相手」。
この章のふり返り
2なぜ今、AIを学ぶのか「使える人」と「使えない人」の差はもう始まっている›
2-1

AIで世界はどう変わったか

研修資料(2026年5月)で紹介した数字です。

2022.11
ChatGPT登場「AI元年」と呼ばれる転換点
1億人
ChatGPTの利用者数わずか2か月で達成。歴史上最速
55%+
業務でAIを使用(米国)2024年時点の調査ベース

ここ数年で起きたこと

  • 「AIで仕事が変わる」は、もう未来の話ではない。今、変わっている。
  • 事務作業、文章作成、データ整理、企画立案 ── すべての領域でAIが業務の一部に組み込まれている。
  • 業界・職種を問わず、AIを使う人と使わない人の生産性に大きな差が生まれている。
  • 中小企業こそ、AIで大企業の業務スピードに追いつけるチャンス。
AIを学ぶか無視するかは、もはや経営判断ではなく「死活問題」になりつつあります。
2-2

携帯ショップ・通信業界でもAI活用は始まっている

大手キャリアショップから街の代理店まで、現場での導入が進んでいます(他社の例)。

  1. 01
    来店予約・問い合わせ対応チャットボットで予約受付、よくある質問の自動回答、待ち時間の短縮
  2. 02
    スタッフ採用(応募文・面接)求人原稿の作成、面接質問の生成、応募者対応メールの自動下書き
  3. 03
    料金プランの説明資料づくり複雑なプランの比較表、お客様向けの分かりやすい説明シートの作成
  4. 04
    クレーム・トラブル対応の整理対応記録の整理、原因分析、再発防止策の下書き
  5. 05
    経営判断の壁打ち販売戦略・新規事業・人事 ── 経営者の意思決定をAIが補助
2-3

AIを「使う人」と「使わない人」の差

取引先への丁寧なメール1本で比べた試算です。

1時間
メール作成(使わない人)丁寧な取引先メール1本
10分
メール作成(使う人)AIが下書き → 自分で調整
50分
1通あたりの差1日5通なら、1日約4時間の差

1年間で生まれる差

1日4時間 × 240営業日 = 年間 960時間
  • 1人あたり、年間で約4か月分の労働時間に相当
  • 「同じ給料で、4か月分多く仕事をする社員」が育つ
  • 逆に言えば、AIを使わない社員には「給料4か月分の機会損失」が発生している
1年後、「AIを使える社員」と「使えない社員」の差は、もう取り返せない。
2-4

当社でAIを導入する3つの理由

01 競合に追いつかれない

中小企業こそAIでレバレッジ(てこ)を効かせる。動きの遅い大手より、機敏に動けるのが当社の武器。

02 限られた人員で多くこなす

接客は現場スタッフ、事務作業はAIで効率化。少ない人数で同じ売上、またはもっと多い売上を作る。

03 「考える時間」を増やす

AIに作業をやらせて、人間は「判断」「決断」「人との関係づくり」に集中する。

2-5

AIで節約できる時間の試算

業務AIなしAIあり節約
取引先への丁寧なメール30分5分25分
会議の議事録作成1時間10分50分
提案資料の作成半日1時間3時間
アンケート集計・分析数時間数分2時間
求人原稿の作成2時間20分1時間40分
Excel関数を調べる30分1分29分

1日の合計節約時間:約8時間/人(全部やる前提)。時間を「作る」ことができる ── それがAI活用の本質です。

2-6

AIにできること(得意分野)

書くWRITING

  • メール・案内文
  • 会議の議事録
  • 提案資料・企画書
  • SNS投稿
  • 求人原稿
  • 謝罪文・依頼文
  • 報告書
  • マニュアルの下書き

整理するORGANIZE

  • 長文の要約
  • 翻訳(和訳・英訳)
  • 情報の構造化
  • リスト作成
  • Excel関数
  • データの分類
  • 目次・章立て
  • 比較表の作成

考えるTHINK

  • アイデア出し
  • 原因の仮説づくり
  • 選択肢の網羅
  • メリット・デメリット整理
  • 反対意見を出す
  • 壁打ち相手
  • 質問を作る
  • 課題の構造化

「決まった作業」も「正解のない問題の整理」も、どちらもAIは得意です。

2-7

AIにできないこと

判断・責任DECIDE

  • 最終的な意思決定
  • 倫理的な判断
  • 責任を取ること
  • 社員の評価決定
  • 解雇の判断
  • 投資の決定
  • 契約の最終締結

事実・正確性FACTS

  • 最新のニュース・株価
  • リアルタイムの情報
  • あなたの会社の内部事情
  • 確実な計算(大きい数字)
  • 法律の最新の解釈
  • 個人の信用情報

人間関係HUMAN

  • 対面の交渉
  • 感情の理解(本当の意味で)
  • 信頼関係の構築
  • 現場の人を動かす
  • 謝罪(本気の)
  • 面と向かった指導
AIは「判断材料」を出すだけ。決断と責任は、必ず人間の仕事です。
この章で持ち帰ること「使える人」と「使えない人」の差は、もう取り返せなくなりつつある。
この章のふり返り
3AIの基本理解この研修でいちばん大事な考え方›
3-1

この研修の大前提

CORE PHILOSOPHY

AIは「答え」をくれる道具ではない。
「考える材料」をくれる相棒である。

この一行を腹落ちさせるかどうかで、向こう1年の仕事の効率が大きく変わります

AIを「答えをくれる箱」と思っている限り、活用はできません。ここを勘違いすると、AIを使うほど考えなくなってしまいます。

3-2

良い使い方 vs ダメな使い方

同じAIを使っているのに、出てくる結果は天と地ほど違います。

× こうなるとマズい:AIに丸投げ → 自分で考えなくなる
  • 「お礼メール書いて」→ そのまま送信
  • 「クレーム対応教えて」→ 言われた通り
  • 「事業計画作って」→ AIの内容を鵜呑み
  • 「人事判断教えて」→ AIのせいにする
「使う前より考えない人」になる
○ こうなったら成功:AIと対話 → 自分の考えが深まる
  • 「観点を3つ挙げて」→ 自分で書く
  • 「原因の仮説を5つ」→ 自分で判断
  • 「弱点を指摘して」→ 自分で改善
  • 「選択肢を5つ」→ 自分で選ぶ
「使うほど賢くなる人」になる
3-3

○の具体例①「観点を3つ挙げて」→ 自分で書く

シーン:お客様への「料金プラン変更のご案内」メールを書く
STEP 1
AIへのプロンプト

下のボックスの文をそのまま送る

STEP 2
AIの回答
  • 今のプランより安くなる根拠を具体的に示す
  • 変更による注意点(契約期間など)も正直に伝える
  • 来店しなくても手続きできる方法を示す
STEP 3
自分で書いたメール

件名:よりお得なプランのご案内
〇〇様
いつもご利用ありがとうございます。現在のご利用状況を拝見し、月々約1,200円お安くなるプランをご案内できます。契約期間の縛りはなく、店頭でもオンラインでも変更可能です。ご不明点はお気軽に…

STEP 1 のプロンプト
あなたは携帯ショップの店長です。お客様への料金プラン見直しのご案内メールで、押さえるべき観点を3つ挙げてください。それぞれ1行で。
教訓:AIに「観点」を出させると、抜けなく書ける。文章は自分の言葉で書く。
3-4

○の具体例②「原因の仮説を5つ」→ 自分で判断

シーン:先月の新規契約件数が15%落ちた。原因が分からない。
STEP 1
AIへのプロンプト

下のボックスの文をそのまま送る

STEP 2
AIの回答
  1. 来店者数の減少(天候・近くの催しなど)
  2. スタッフの接客力・提案力のばらつき
  3. 競合店・オンラインへの流出
  4. キャンペーン時期の谷間
  5. 在庫不足で人気機種を案内できなかった
STEP 3
自分で判断
  • 来店者数を先月と比べて確認
  • スタッフ別の成約率を確認
  • 在庫切れの期間を振り返り

→ ②スタッフ間の成約率の差が最大と判明
→ 接客トークの標準化を決断

STEP 1 のプロンプト
携帯ショップで、先月の新規契約件数が15%下がりました。考えられる原因の仮説を5つ挙げてください。可能性が高い順で。
教訓:仮説を5つ並べて、自分の仕事の状況と照らし合わせて選ぶ。
3-5

○の具体例③「弱点を指摘して」→ 自分で改善

シーン:新規事業(2店舗目の出店、初期投資1,500万円、3年で回収予定)の事業計画を立てた
STEP 1
AIへのプロンプト

下のボックスの文をそのまま送る

STEP 2
AIが指摘した弱点
  • 今の店から優秀なスタッフを移すと、本店の売上が落ちるリスク
  • キャリアの代理店契約の条件・出店審査の見通しが甘い
  • 3年回収は楽観的。商圏の競合・家賃相場の調査不足
STEP 3
自分で改善
  • 人員計画を見直し、新規採用を前提に
  • キャリアの出店条件を担当者に確認
  • 候補地周辺の競合店を実地調査
  • 回収期間を5年で再試算

→ 再調査の上で判断・決断

STEP 1 のプロンプト
私が立てた事業計画(携帯ショップ2店舗目の出店、初期投資1,500万円、3年回収予定)の弱点を3つ指摘してください。遠慮なく。
教訓:「弱点ある?」と聞くと、家族や社員には言いにくいことも教えてくれる。
3-6

○の具体例④「選択肢を5つ」→ 自分で選ぶ

シーン:繁忙期に向けてスタッフをあと1人雇うか、今の人数で乗り切るか迷っている
STEP 1
AIへのプロンプト

下のボックスの文をそのまま送る

STEP 2
AIが出した選択肢
  1. 今のスタッフのシフト調整で対応
  2. 繁忙期だけ短期アルバイトを活用
  3. 来店予約制を導入して来店を平準化
  4. オンライン手続きへの誘導を強化
  5. 近くの店舗と応援スタッフを融通し合う
STEP 3
自分で選ぶ
  • ①は残業負担が大きいので除外
  • ⑤は応援のあてがない

→ ③来店予約制を先に導入
→ それでも回らなければ②を追加
→ 正社員はすぐには増やさない方針
→ ③+②の組み合わせで対応

STEP 1 のプロンプト
携帯ショップで接客人員が足りない時の対処として、正社員採用とアルバイト採用以外の選択肢を5つ提案してください。それぞれメリット・デメリット付きで。
教訓:「AかBか」で迷う時こそ、AIに第3の道を出させる。
3-7

AIの2つの使い方を区別する

両方使ってOK。ただし、後者を意識しないと人は伸びません。

① 作業代行モード

決まった答えがある作業をAIに「やらせる」感覚で使う。

  1. 01
    メールの下書き丁寧な依頼文・謝罪文・お礼文。型が決まっている文章はAIが圧倒的に速い
  2. 02
    長文の要約業界レポート、法令の解説、取引先からの長い説明文 →「3行で要約して」
  3. 03
    翻訳(英文・他の言語)海外からのメールや英語の資料。専門用語も文脈ごと訳してくれる
  4. 04
    Excel・スプレッドシート「こういう計算をしたい」と日本語で説明 → 関数を作ってくれる
  5. 05
    形式の変換メモ→箇条書き、箇条書き→メール文、文章→表

ほかに:会議録の整理、求人原稿の作成

効率化には◎。ただし「効率化」の話で、これだけでは考える力は伸びない。

② 思考の相棒モード

正解のない問題をAIと「対話する」感覚で一緒に考える。

  1. 01
    課題を一緒に分解する「この問題の構造を整理して」「要因を10個挙げて」
  2. 02
    選択肢を網羅する「私が考えていない選択肢を5つ挙げて」── 視野を強制的に広げる
  3. 03
    自分の判断を批判してもらう「この判断の盲点を3つ指摘して」── 賛成してくれる人しかいない時に
  4. 04
    第三者の視点を借りる「顧客・社員・競合の立場で評価して」── 自社目線では見えない点が見える
  5. 05
    自分への質問を作らせる「私に聞くべき質問を10個挙げて」── 準備不足のまま決断するのを防ぐ

ここを使えるかどうかで、AI活用の差が出る。

3-8

AIを「人」として扱うと上手くいく

話し方を「優秀な部下に指示するつもり」に変えるだけで、答えの質が劇的に上がります。

× ぼんやり質問
メール書いて
○ 部下への指示のように
あなたは携帯ショップの店長です。お客様へ料金プラン見直しのご案内メールを書いてください。300字以内、丁寧な敬語で。
× ぼんやり質問
スタッフ教えて
○ 部下への指示のように
あなたは通信業界のベテラン店長です。新人スタッフの定着率を上げる方法を、優先順位の高い順に5つ挙げてください。
× ぼんやり質問
考えて
○ 部下への指示のように
あなたは経営コンサルタントです。私が新規事業を立ち上げる時、最初に確認すべき項目を10個挙げてください。
この章で持ち帰ることAIは「答え」をくれる道具ではない。「考える材料」をくれる相棒である。
この章のふり返り
4主要AIツールの使い分けChatGPT / Claude / Gemini / Claude Code›
この章の料金・機能・設定は研修時点(2026年5月)の内容です。AIサービスは数か月単位で変わるので、契約や設定の前に必ず各社の公式画面で確認してください。
4-1

主要な3つのAIツールを「社員」に例えると

どれも基本機能は無料で使えます。それぞれ性格が違うので、「どんな社員に頼むか」で選ぶイメージです。

GPTChatGPTOpenAI社
博識な新人社員
  • 何でも答えてくれる、頼れる若手
  • 世界で最も使われている。情報量が圧倒的
  • 一般的な質問・調べものに強い
  • でも、自信たっぷりに嘘をつくこともある
  • 無料版あり/有料版は月額20ドル研修時点
「とりあえず聞いてみよう」の社員。迷ったらまずこれ
CClaudeAnthropic社
丁寧な編集者
  • 文章を書かせると群を抜いて上手い
  • 長い資料をしっかり読み込む
  • 慎重で礼儀正しい性格。ビジネス文書向き
  • 重要なメール・契約書を任せる相手
  • 無料版あり/有料版は月額20ドル研修時点
「文章で勝負する時」の社員
GGeminiGoogle社
Google使いの事務員
  • Gmail・スプレッドシートと一緒に動く
  • 検索しながら答えてくれる。検索精度が高い
  • データ集計・表の整理が得意
  • Googleサービスを使っていないと出番が少ない
  • Googleアカウントで無料版、Google Oneで高機能版研修時点
「Google連携が必要な時」の社員
「どれが一番か」ではなく「どの場面で何を使うか」が大事。3人とも雇って、場面によって頼む相手を変えます。
4-2

場面別「このツールを使え」ガイド

迷った時のチートシートです(研修時点の評価)。

こんな業務おすすめ理由
取引先への丁寧なメールを書くClaude文章力が高い。そのまま送れる品質
長いPDF・資料を要約Claude長文の処理に強く、要点を外さない
会議の議事録を整理Claude自然な日本語にまとめてくれる
Excel関数を作りたいChatGPT情報量が多く、的確な関数が出る
知らない用語・業界知識を調べるChatGPT幅広い知識量で頼りになる
アイデア出し・壁打ち相手ChatGPT/Claudeどちらでも◎。文章重視ならClaude
画像を作りたいChatGPT画像生成の機能がある(研修時点の名前はDALL-E)
Gmailのメール返信案を作るGeminiGmailと連動して本文を読める
スプレッドシートのデータ分析GeminiGoogleスプレッドシートとの連携が強力
経営判断の壁打ち・反対意見Claude慎重で深い回答が出やすい
迷ったらChatGPT。重要な文章ならClaude。Google連携ならGemini。
4-3

ChatGPT 詳細

世界で最も使われているAI。OpenAI社が2022年に公開。

強み

  • 情報量が圧倒的に多い(利用者数が世界一)
  • 万能型。何を聞いてもそれなりに答える
  • 画像生成もできる
  • ネット検索機能あり(研修時点では有料版)
  • 音声入力・音声会話に対応
  • 拡張機能(GPTsなど)で機能を広げられる

注意点

  • 無料版は入力が学習に使われることがある(設定でOFFにできる → 第10章)
  • 個人情報・取引先情報は無料版に入れない
  • ハルシネーション(嘘)は普通に起きる
  • 計算が苦手(特に大きい数字)
  • 回答が「無難すぎる」ことがある
  • まれに「不適切」としてブロックされる質問がある

おすすめ用途:迷ったらまずChatGPT。無料版でOK、ただし設定で学習をOFFに。

4-4

Claude 詳細

Anthropic社が開発。ChatGPTより文章力が高いと評価されることが多いAI。

強み

  • 文章の自然さで群を抜く(日本語も)
  • 長文の理解・処理に強い(PDFまるごとなど)
  • 研修時点では「無料版でも学習に使われない」と説明していた(※下の注意)
  • 倫理的に慎重。危険な質問は丁寧に断る
  • コードを書かせると綺麗
  • プロジェクト機能でファイルを管理できる

注意点

  • 画像生成はできない(画像を読み取ることはできる)
  • 日本ではChatGPTより知名度が低い
  • ネット検索は研修時点では有料版のみ
  • 無料版は使える回数が少なめ
  • 「気を遣いすぎ」と感じることがある
  • まれに丁寧に「お断り」される
更新の注意学習に使うかどうかの扱いは、どのサービスも規約の改定で変わります。Claudeも含めて「設定不要で安全」と決めつけず、自分のアカウントの設定画面で確認してください(第10章 10-7)。

おすすめ用途:取引先へのメール、契約書のチェック、長文の要約。

4-5

Gemini 詳細

Google社が開発。Gmailやスプレッドシートと連携できるのが最大の強み。

強み

  • Googleのサービスと連携
  • Gmailのメール本文を読んで要約・返信案
  • スプレッドシートのデータを直接分析
  • Googleドライブのファイルを横断して検索
  • Googleアカウントがあれば無料で使える
  • ネット検索が標準で組み込まれている

注意点

  • 研修時点の評価では、回答の質はChatGPT・Claudeよりやや控えめ
  • Googleサービスを使っていないと良さが薄い
  • プライバシー設定は要確認(第10章)
  • 日本語の自然さはClaudeに劣る、という評価
  • 細かい指示への対応が雑なことがある

Googleのサービスを中心に使っている人には強力。単体で使うより、Google連携で本領を発揮します。

4-6

ツール比較表

項目ChatGPTClaudeGemini
提供元OpenAIAnthropicGoogle
強み万能型・情報量◎文章力◎・長文に強いGoogle連携◎
向いている用途迷ったらまずこれ重要な文章を書く時Gmailと連動する時
注意点個人情報は無料版に入れない画像生成はできない回答の質はやや控えめ
使う場面全般的な業務メール・契約書Google系を使う時
3つとも無料で試せます。まずは触る。勉強してから、ではなく、いきなり使ってみる。
4-7

Claude Code(クロードコード):何ができるのか

Anthropic社の、ターミナル(黒い画面)で使うAIのプログラミング用ツール。社内ツールを作る人には圧倒的に強い道具です。

  1. 01
    ファイルを直接読み書きできる「このフォルダの中身を見て、エラーを直して」が通る。コピペ不要
  2. 02
    複数のファイルをまたいで変更「全ファイルの〇〇を△△に変えて」が一発で終わる
  3. 03
    実行→確認→修正のループが速いコードを書く→実行→エラー→修正、を自動でやる
  4. 04
    プロジェクト全体を把握できる「このシステムの構造を説明して」に答えられる
  5. 05
    外部ツールとの連携(MCP)Googleスプレッドシート、Gmail、データベースなどとつないで自動化できる

講師の本音:全員に勧めるツールではない

注意点

  • ターミナル操作に少し慣れが必要
  • コードを一切触らない人にはオーバースペック
  • 利用料がかかる(研修時点では無料枠あり)
  • セットアップに30分くらいかかる
  • 「動くまで」のハードルはChatGPTより高い

当社で使えそうな場面

  • 社内向けの簡単なツール(来店集計・在庫管理画面など)
  • Excel・スプレッドシートの自動化
  • 売上・契約データの整理(※第10章のルールの範囲で)
  • お客様向け料金シミュレーターの試作
  • 問い合わせ対応の半自動化

全員に必要ではありません。社長が個人で試すのはあり、という位置づけです。

この章で持ち帰ること「どれが一番か」ではなく「どの場面で何を使うか」。まず無料で触る。
この章のふり返り
5はじめてのAI 体験ガイド理屈より、まず触ってみる›
5-1

この章の流れ

実際にAIを使い始める手順です。難しい操作は一切なし。今日中に始められます。

  • ChatGPTを始める5ステップ
  • 初めて打つメッセージの例
  • 画面の見方・履歴・新しいチャット
  • スマホで使う方法
  • Claude/Geminiを始める方法
  • 課金プランは必要か?
5-2

ChatGPTを始める5ステップ

パソコンで3分。アカウント登録から最初のメッセージまで。

  1. ブラウザでChatGPTの公式サイトを開くGoogleなどで「ChatGPT」と検索してもOK。研修時点の資料のアドレスは chat.openai.com(現在は chatgpt.com に転送されます)
  2. 「Sign up(登録)」を押すすでにアカウントがあれば「Log in」
  3. メールアドレスかGoogleアカウントで登録電話番号の確認がある場合あり。クレジットカード情報は不要
  4. ログイン後、入力欄を見つける「メッセージを入力」と書かれた欄が画面にある
  5. 「こんにちは」と打って送信これで初めてのAI体験。数秒で返事が来ます
登録は自分で、自分の情報で。会社のパスワードを使い回さないこと。無料版は登録後すぐに使えます(研修時点)。
5-3

はじめて打つメッセージ

いきなり仕事に使うのではなく、まずは「友達と雑談」の感覚で慣れます。何度同じことを聞いてもOK。

① AI自身に「何ができるか」を聞く
こんにちは。あなたは何ができますか?
② 自分の仕事でどう使えるか聞く
あなたは何ができますか? 私の仕事(携帯・通信の販売の現場)でどう使えますか?
③ 自分の業界について質問する(AIの情報量の感覚をつかむ)
携帯ショップ業界の現状を5行で教えて
④ 業界の課題を、視点を指定して聞く
携帯ショップ業界の現状と課題を、経営者が知るべき視点で5つ
⑤ 自分の立場で具体的に聞く(使いどころが見える)
私は通信の販売現場で働くスタッフです。今後の仕事でAIをどう使えますか?
⑥ 明日の仕事を1つ相談する
明日の朝礼で話す、安全運転についての3分スピーチを200字で

⑤は、経営側の人なら「私は中小企業の社長です。今後の経営でAIをどう使えますか?」に変えて使います(研修資料の元の例)。

5-4

ChatGPTの画面の見方

初めて開いた時に「どこを見ればいいか」。覚えるのは3つだけです(画面の細かい配置は変わることがあります)。

覚えるのは3つ:履歴(左)・会話エリア(真ん中)・入力欄(下)
5-5

履歴の操作と、新しいチャットの始め方

  1. 01
    新しいチャットを始める左上の「New chat」や「+」ボタン → 真っ白な状態で始まる
  2. 02
    過去の会話を見る左のサイドバーを押すと、自動保存された過去の会話に戻れる
  3. 03
    履歴を削除する会話の横の「…」(三点メニュー)→「Delete」で消せる
  4. 04
    会話の名前を変える会話のタイトルを押して、自分で分かりやすい名前に変更
  5. 05
    全部消したい時設定 → データコントロール →「Clear all chats」で一括削除(研修時点の画面名)

履歴は自動で保存されます。整理が苦手でも大丈夫。話題が変わったら新しいチャットにすると、AIが前の話に引っぱられません。

5-6

スマホで使う方法

パソコンと同じ感覚で、外出先でも使えます。

  1. 01
    App Store/Google Playで検索「ChatGPT」「Claude」「Gemini」それぞれ公式アプリがある(提供元の会社名を必ず確認)
  2. 02
    ダウンロード(無料)インストールは1分。Wi-Fi環境がおすすめ
  3. 03
    パソコンと同じアカウントでログイン会話の履歴も同期される
  4. 04
    音声入力が便利マイクボタン → 話しかけるだけ。打つよりずっと速い
  5. 05
    画像も送れるカメラで撮った写真をAIに見せて、説明を頼める
守秘の追加写真を送れるからこそ、撮ってはいけないものがあります。申込書・本人確認書類・お客様のスマホ画面・お客様が写った写真・社内の実績表やホワイトボードは、絶対にAIに送りません。運転中の操作もしません。

移動の合間・出張中・自宅でも、ポケットの中に「相談相手」がいます。

5-7

Claude・Geminiを始める方法

Claude

  • ブラウザで claude.ai を開く
  • Googleアカウントなどでログイン(簡単)
  • 画面の見方はChatGPTとほぼ同じ
  • 重要な文章(メール・契約書)を書く時はこちら
  • スマホの公式アプリもある

ChatGPTとほぼ同じ感覚。違いは「文章が綺麗」な点。研修では「無料でも学習されない」点も強みとして紹介しましたが、設定は自分で確認します(第10章)。

Gemini

  • ブラウザで gemini.google.com を開く
  • Googleアカウントでログイン(あればすぐ使える)
  • Gmail・スプレッドシート・ドキュメントと連動
  • 「先週来たメールを要約して」のような連携した質問ができる
  • 検索が標準で組み込まれている(新しい情報も取れる)
  • Androidスマホには標準搭載が増えている

Googleを仕事の中心にしている人におすすめ。

5-8

課金プランは必要か?

結論:最初は無料で十分。1か月使って物足りなければ検討。

無料版で十分なケース

  • 1日数回の質問
  • メールの下書き作成
  • 知らない用語の調べもの
  • 会議のメモ整理
  • アイデア出しの壁打ち
  • 個人の業務効率化

中小企業の経営者・社員は、無料で9割の業務をカバーできる

有料版を検討するケース

  • 1日数十回の質問(回数制限を超える)
  • 画像を大量に作る
  • 長いPDFを続けて要約する
  • 最新のモデルを使いたい
  • 音声会話をよく使う
  • ファイル管理機能(Claudeのプロジェクトなど)

研修時点で月20ドル(約3,000円)。社員1人の半日分の人件費程度

会社の業務で有料版を使う・経費にする場合は、申し込む前に社長に相談してください。料金は為替や改定で変わります。
この章で持ち帰ることサイトを開く→登録→入力欄に話しかけるだけ。クレジットカード不要・無料で今日から始められる。
この章のふり返り
6良いプロンプトの作り方4つ足すだけで、答えが別人になる›
6-1

プロンプトとは何か

AIへの指示文のことです。これの質で、答えの質が決まります。「メール書いて」では、ぼんやりした答えしか出ません。「役割・目的・条件・形式」を伝えれば、仕事で使えるレベルの答えが出ます。優秀な部下に頼む時と同じくらい丁寧に書きます。

プロンプト

人間がAIに渡す指示・質問の文

AI

ChatGPT/Claude/Geminiなど

回答

AIが出す文章・コード・答え

  • プロンプトを工夫するだけで、AIは別人レベルに賢くなる
  • 「指示を出す技術」が、新しい必須スキルになる
6-2

悪いプロンプト vs 良いプロンプト

× ぼんやり・短い・条件なし
  • 「メール書いて」
  • 「いい感じにして」
  • 「うまくやって」
  • 「スタッフ教えて」
  • 「報告書作って」
  • 「何かいいアイデアない?」
ぼんやりした答えしか返ってこない
○ 具体的・条件付き・形式指定
  • 役割:あなたは携帯ショップの店長です
  • 目的:お客様への料金プラン見直しの案内
  • 条件:300字以内、敬語、絵文字なし
  • 形式:件名と本文の構成で出力
  • 制約:固有名詞は仮名にする
  • 追加:別パターンも2つ提案して
仕事で使えるレベルの答えが返る
○ の6つをまとめた完成形
あなたは携帯ショップの店長です。
お客様への料金プラン見直しのご案内メールを書いてください。
条件:300字以内、丁寧な敬語、絵文字なし。
形式:件名と本文に分けて出力。
固有名詞は仮名にしてください。
別のパターンも2つ提案してください。
6-3

良いプロンプトの4要素

役割 ・ 目的 ・ 条件 ・ 形式

この4つを意識するだけで、AIの答えが劇的に変わります。

① 役割(Role)

AIに「誰として答えてほしいか」を最初に伝える。これだけで答えの専門性が変わる。

  • 「あなたは通信業界の専門家です」
  • 「あなたは携帯ショップの店長です」
  • 「あなたは新人スタッフの指導係です」
  • 「あなたは契約書の専門家(弁護士)です」
  • 「あなたは厳しい先輩経営者です」── 厳しい意見がほしい時
  • 「あなたは初めて来店したお客様の立場です」── お客様の目線がほしい時

② 目的(Purpose)

「何のために」「何をしたいか」を明確に。曖昧な目的だと曖昧な答えしか返らない。

  • 「料金プラン見直しのご案内メールを書きたい」
  • 「新人スタッフの教育プログラムを作りたい」
  • 「キャンペーンの販促企画を考えたい」
  • 「経営会議の資料を作りたい」
  • 「クレーム対応の再発防止策を整理したい」
  • 「採用面接の質問を作りたい」

目的が明確だと、AIが「何を出すべきか」を理解できる。

③ 条件(Constraint)

出力の制約を伝える。これがないと、長すぎたり短すぎたりする。

  • 「300字以内で」
  • 「丁寧な敬語を使って」
  • 「絵文字は使わずに」
  • 「専門用語は避けて、中学生にも分かるように」
  • 「優しい口調で」/「厳しい口調で」
  • 「箇条書きで5つ以内」
  • 「固有名詞は仮名にして」

条件は具体的に。「いい感じに」はNG。

④ 形式(Format)

出力の形を指定。そのままコピペで使えるレベルに整えてもらう。

  • 「箇条書きで」
  • 「表形式で(項目/内容)」
  • 「メール形式で(件名+本文)」
  • 「Q&A形式で」
  • 「ステップごとに区切って」
  • 「3つのカテゴリに分類して」
  • 「優先順位の高い順に並べて」
6-4

プロンプト改善のコツ

最初から完璧なプロンプトは作れません。試行錯誤で精度を上げます。

  1. 01
    答えがイマイチなら、追加で指示「もっと具体的に」「箇条書きで」「短くして」と続けて話しかける
  2. 02
    具体例を入れる「例えば、こういう感じで」と例を1つ入れると、答えの方向が定まる
  3. 03
    NGパターンを伝える「ただし、こういう答えは避けて」と禁止事項をはっきり書く
  4. 04
    段階的に絞り込む最初は広く聞き、答えを見て「もっとこの方向で」と絞る
  5. 05
    うまくいったプロンプトを保存良い答えが出たプロンプトはメモに残し、テンプレート化する
6-5

答えがイマイチな時の「追加のひと言」

AIの答えが期待と違った時は、こう続けます。会話のように何度でも続けられます。

もう少し具体的に
もっと短く
もっと詳しく
例も入れて
箇条書きで
表形式で
経営者向けに書き直して
日本の通信業界の事情も踏まえて
ひと言こんな時に
もう少し具体的に答えが抽象的すぎる時の魔法のひと言
もっと短く/もっと詳しく長さの調整は遠慮なく頼む
例も入れて具体例で理解が一気に深まる
箇条書きで/表形式で見た目を整えてもらう
〇〇向けに書き直して読む人を指定すると、トーンが変わる
〇〇の事情も踏まえて文脈を足すと、答えが現実的になる
6-6

プロンプトの失敗例と修正例

よくある失敗を、具体的に直してみます。修正のポイントは「具体的・条件付き・形式指定」の3点セット。

× 失敗例(何の話か伝わらない)○ 修正例(使える答えが返る)
メール書いてお客様への料金プラン案内メール。300字、敬語、絵文字なし
アイデアちょうだい携帯ショップの新規来店を増やす施策を5つ、メリット・デメリット付き
スタッフについて新人スタッフの定着率を上げる方法を5つ、優先順位順
いい感じに営業文を、もう少し柔らかい口調に書き直して
教えて電気通信事業法の概要を、経営者向けに5行で
もっとよくしてこの提案文の弱点を3つ指摘して
修正例をコピーして使う
携帯ショップの新規来店を増やす施策を5つ、メリット・デメリット付きで
修正例をコピーして使う
新人スタッフの定着率を上げる方法を5つ、優先順位順で
修正例をコピーして使う
電気通信事業法の概要を、経営者向けに5行で

法律の説明は、必ず公式の情報で確かめます(第9章)。

6-7

プロンプトテンプレート集(コピペで使える)

【課題】【判断】の部分を、自分の仕事に置き換えるだけで、どんな業務にも使えます。第7章の「5つの技」と同じ考え方です。

01 原因を掘る
【課題】の原因として考えられることを10個挙げて。最も可能性が高い順に並べて。
02 盲点を探す
私は今【判断】をしようとしている。この判断で見落としそうな点を3つ指摘して。
03 視点を変える
【課題】について、顧客・社員・競合の3つの立場でそれぞれ評価して。
04 選択肢を増やす
【課題】への対処として、私が考えていない選択肢を5つ提案して。
05 深く問わせる
私が【課題】について判断するために、あなたが私に聞くべき質問を10個挙げて。
【課題】に書くときも、お客様の名前・クライアント名・社内の数字は入れません。「あるお客様」「キャリアA」「売上が先月より下がった」のようにぼかします(第10章)。
6-8

もっとも簡単なプロンプト例 10選

困った時のチートシート。〇〇を置き換えて使います。

01 長文の要約(一番使う)
〇〇について5行で要約して
02 判断の材料集めに
〇〇のメリットを5つ、デメリットを5つ
03 難しい用語の理解に
〇〇の意味を中学生にも分かるように
04 取引先メールの下書き
〇〇のメールを丁寧な敬語で300字以内で
05 準備不足を防ぐ
〇〇について質問を10個
06 自分の判断の検証に
〇〇の反対意見を3つ
07 計算式が分からない時
〇〇のExcel関数を作って
08 翻訳に
英語の〇〇を自然な日本語に
09 会議メモから議事録へ
〇〇について議事録を整理して
10 作業手順の整理に
〇〇の段取りを順番に書いて

このページをスマホのホーム画面に置いておくか、印刷してデスクに貼っておくと便利です。

この章で持ち帰ること「役割・目的・条件・形式」の4つを伝えるだけで、AIは別人になる。
この章のふり返り
7考える力を伸ばす5つの技AIを「答えの箱」から「考える相棒」に変える問いかけ›
7-0

5つの技の全体像

ここが「使うほど賢くなる」ための核心です。5つの問いかけを覚えるだけで、AIが思考の相棒に変わります。

  1. 01
    「なぜ?」を5回問わせる現象 → 原因 → さらに原因…と掘り下げて、根本原因を見つける
  2. 02
    反対意見を3つ言わせる自分の判断の盲点・弱点をAIに指摘させる
  3. 03
    第三者の視点で評価させる顧客・社員・競合の立場でそれぞれ評価させて、見方を増やす
  4. 04
    自分への質問を作らせる判断の前に「自分に問うべきこと」をAIにリスト化させる
  5. 05
    選択肢を網羅して比較させる迷ったら「ほかの選択肢は?」「比較表で」と頼む
技 ①

「なぜ?」を5回問わせる

「なぜそうなる?」を繰り返して、表面的な現象から根本原因にたどり着く考え方です。トヨタの「なぜなぜ分析」のAI版。

  • 1回の「なぜ?」では、その場しのぎ(対症療法)しか出てこない
  • 2〜3回繰り返すと、もう少し深い理由が見える
  • 4〜5回繰り返すと、「仕組み」「文化」レベルの根本原因に届く
  • 根本原因が分かれば、的確な対策が打てる
  • AIに頼むと、自分一人では気づけない掘り下げをしてくれる
使う場面:問題の根本原因が分からない時。表面的な対症療法を防ぐ。
プロンプト例
【問題】について、なぜ起きるのかを5回掘り下げて。各段階で「なぜ?」と問いながら、最後に根本原因を1つに絞って。

具体例:「スタッフが辞めた」

  1. なぜ?給与に不満
  2. なぜ?同業より低い
  3. なぜ?インセンティブが少ない
  4. なぜ?販売目標の設計が古い
  5. なぜ?制度を見直す担当がいない
  6. 根本原因:評価・報酬制度の見直し体制がない

コツ

  • AIが浅い答えで止まったら「もっと深掘りして」と続ける
  • 各段階の答えに「なぜ?」を返す感じで
  • 最後に必ず「根本原因は何?」と聞く

対症療法ではなく、根本原因に手を打つために使います。

技 ②

反対意見を3つ言わせる

自分の判断に自信がある時こそ使います。AIに反対意見を出させて、自分では気づけない盲点を見つけます。

  • 人は自分の判断を補強する情報ばかり集める(確証バイアス)
  • 賛成する人ばかりが周りにいると、盲点が見えなくなる
  • AIは感情なく反対意見を出してくれる
  • 「反対意見を3つ」と数を指定するのがコツ
  • 出てきた反対意見の中に、本当に重要なものが含まれていることが多い
使う場面:判断に自信がある時。社内に「反対してくれる人」がいない経営者には特に役立つ。
プロンプト例
私は今【判断】をしようとしている。この判断で見落としそうな点・反対意見を3つ指摘して。私の判断の弱点を遠慮なく。

具体例:「新しい販促キャンペーンを始める」→ AIの指摘

  1. ①
    今のお客様への案内が手薄になり、不公平感が出るリスク
  2. ②
    スタッフの説明の負担が増え、接客の質が下がるリスク
  3. ③
    採算が合わず、利益を削るだけで終わるリスク

コツ

  • 「遠慮なく」と書くと厳しい意見を出す
  • 出てきた反対意見を「想定済み」「想定外」に分ける
  • 想定外の意見が、本当の盲点
技 ③

第三者の視点で評価させる

自社・自分の目線だけで判断していないか確かめます。ほかの立場の人にとって、その判断がどう見えるかをAIに問います。

  • 経営者は無意識に「会社の利益」目線で判断しがち
  • でも、顧客・社員・取引先・競合からはまったく違って見える
  • AIに複数の立場で評価させると、視野が強制的に広がる
  • 「顧客から見たら?」「社員から見たら?」「競合から見たら?」
  • それぞれの評価が分かれば、より総合的な判断ができる
使う場面:自社目線だけで判断していないか確認する時。意思決定の前に必ず通すべきフィルター。
プロンプト例
【課題・判断】について、Aの立場・Bの立場・Cの立場でそれぞれ評価して。それぞれの立場でメリット・デメリットを整理して。

具体例:「来店予約制を導入する」

立場見え方
お客様待たずに済む。でも予約が面倒
スタッフ業務が平準化して歓迎
競合飛び込み客を取るチャンス
経営来店数が読めて、人員配置がしやすい
総合判断予約優先+飛び込みも受け付ける併用が無難

コツ

  • 立場を3〜4つ指定すると整理しやすい
  • 「全部の立場でメリット・デメリット」と頼む
  • 出てきた中から見落としを見つける

自社目線だけでは見えない点が、必ずあります。

技 ④

自分への質問を作らせる

重要な判断の前に、AIに「私が答えるべき質問」を作らせます。答えられない質問が、判断材料の不足を教えてくれます。

  • 人は「準備できた」と思った時点で動き出してしまう
  • でも、本当に必要な情報がそろっているとは限らない
  • AIに「私に聞くべき質問」を出させると、抜けが分かる
  • 答えられない質問が3つ以上あったら、判断はまだ早い
  • 「分からないことが分かる」のが、この技の最大の効果
使う場面:重要な判断の前。準備不足のまま決めないため。決断の質を上げる強力な技。
プロンプト例
私が【課題・判断】について判断するために、あなたが私に聞くべき質問を10個挙げて。判断に必要な情報を引き出すための質問を。

具体例:「2人を正社員として雇うか」→ AIの質問

  • 年間の人件費は売上の何%?
  • 売上が20%減っても払い続けられるか?
  • 社会保険・退職金の準備は?
  • 本人たちの将来の希望は確認した?
  • 今いるスタッフへの影響は?
答えられない質問 = 判断材料の不足

コツ

  • 答えられた数より、答えられない数が大事
  • 答えられない質問は、調査・確認のTODOにする
  • それで初めて、判断のスタートラインに立てる

判断前のチェックリストをAIに作らせる、と覚えます。

技 ⑤

選択肢を網羅して比較させる

「AかBか」で迷っている時、AIに「ほかの選択肢」を出させます。第3・第4の道が見つかることが多いです。

  • 二者択一の罠:人は2つしか選択肢を考えていないことが多い
  • AIに「ほかの選択肢を5つ」と頼むと、視野が一気に広がる
  • 「廃業」「他社と提携」「人を雇うのをやめる」など極端な選択肢も出る
  • 極端な選択肢を見ると、自分の本当の願いが分かる
  • 網羅したうえで選ぶと、納得度の高い決断ができる
使う場面:「AかBか」で迷っている時。決断の幅を広げる。
プロンプト例
【課題】への対処として、私が考えていない選択肢を5つ提案して。それぞれメリット・デメリット付きで。極端な選択肢も含めて。

具体例:「スタッフを増やすか、減らすか」→ AIの提案

最初に考えていた2択

  1. スタッフを増やす
  2. スタッフを減らす

AIが足した選択肢

  1. アルバイト・短時間勤務に切り替え
  2. 業務範囲を絞る(高単価の提案に集中)
  3. 来店予約制で平準化
  4. 近くの店と応援を融通
  5. 店舗を縮小・統合する

コツ

  • 「極端な選択肢も含めて」が重要
  • 廃業・撤退まで検討すると、本気度が分かる
  • 選んだ選択肢への納得度が上がる

「AかBか」と迷ったら、まずC・D・Eを出させます。

7-6

5つの技の使い分けの目安

こんな状況の時この技を使う理由
問題の原因が分からない① なぜ?を5回根本原因にたどり着くため
自分の判断に自信がある② 反対意見を3つ盲点を見つけるため
自社目線だけで考えている③ 第三者の視点視野を強制的に広げるため
準備不足の感覚がある④ 自分への質問答えられない問いを見つけるため
AかBか迷っている⑤ 選択肢の網羅第3・第4の道を見つけるため
迷ったら複数の技を組み合わせて使います。例:技① + 技② + 技④。そして最後は、AIに決めさせず自分で決める。
この章で持ち帰ることAIを「答えの箱」から「考える相棒」に変えるのが、この5つの技。
この章のふり返り
8事業現場の実例13本使う・使わないで、どう変わるか›

携帯ショップ・通信の現場のリアルな場面で、「×ダメな使い方」と「○良い使い方」を比べます。全部読まなくても大丈夫。自分の仕事に近いものから読んでください。どの例でも共通するのは、AIには判断材料を出させ、決めるのは自分ということです。

例の中の「Aさん」「Bさん」は仮名です。実際に使う時も、スタッフやお客様の実名・クライアント名・社内の数字は入れずに、ぼかして聞きます(第10章)。
実例 01

スタッフが「辞めたい」と言ってきた

シーン:入社半年のAさんから退職の相談。引き留めるか、見送るか判断したい。
× ダメな使い方「スタッフの引き留め方を教えて」
  • 話をしっかり聞きましょう
  • 労働環境を改善しましょう
  • 給与の見直しを検討しましょう…
Aさんに当てはまるか分からない → 何も判断できない
○ 良い使い方「販売スタッフが辞めたい理由を10個」
  • ①給与・インセンティブへの不満/②ノルマのプレッシャー
  • ③人間関係/④土日出勤の負担
  • ⑤キャリアが見えない/⑥家庭の事情…
Aさんとの面談で10個を順に確認 → 本当の理由が見つかる
○ のプロンプト
販売スタッフが辞めたい理由を10個。最も可能性が高い順に。
実例 02

本部から「手数料体系を見直す」と通達が来た

シーン:代理店向けの販売手数料が見直され、収益が下がりそう。どう対応するか。

○ 良い使い方:AIで「判断材料」を3ステップでそろえる

STEP 1
メリット・デメリットを整理
AIが出した材料
  • 受け入れる:関係維持◎/収益は減る
  • 交渉する:収益は確保/関係悪化のリスク
STEP 2
反対意見・盲点を引き出す
AIが出した材料
  1. 他店との比較で不利になる可能性
  2. 長い関係への影響
  3. 別の収益源を作る発想が欠けている
STEP 3
妥協案・代替案を作る
AIが出した材料
  1. 販売件数を増やす施策
  2. 通信以外の物販を強化
  3. 来店単価を上げる接客…
STEP 1
手数料体系の変更を受け入れる場合・交渉する場合のメリット・デメリットをそれぞれ5つ
STEP 2
現状維持を求める判断の盲点を3つ指摘して。私が見落としそうな点
STEP 3
収益を保ちつつ本部とも良い関係を保つ打ち手を5つ
取引先の名前・実際の手数料の金額・契約条件は入れません。「本部」「手数料が下がる」程度にぼかして聞きます。3ステップのあとは自分で決断。AIに「決めて」とは絶対に言いません。
実例 03

「待たされた上に説明も分かりにくい」とお客様からクレーム

シーン:謝罪する前に、本当の不満を理解する。再発防止までセットで考える。
表面
これだけだと弱い

AIへの問い:「お詫びの言葉を考えて」

AIが出すもの

丁寧な謝罪文

→ 同じことが繰り返される

本質
原因を掘り下げる

AIへの問い:「お客様の本当の不満を3つの仮説で」

AIが出すもの
  1. 待ち時間の見通しがなかった
  2. 説明が専門用語ばかりだった
  3. 結局何が得か分からなかった

→ 何に対応すべきか見える

仕組み
再発防止に落とす

AIへの問い:「同じ問題を起こさない仕組みを5つ」

AIが出すもの
  1. 待ち時間の目安を掲示・予約制
  2. 説明用の図解シートを準備
  3. 月1回のクレーム振り返り会…

→ クレームが「改善のタネ」になる

本質を掘る
「待たされた上に説明も分かりにくい」というお客様の声について、お客様の本当の不満を3つの仮説で
仕組みに落とす
同じ問題を起こさない仕組みを5つ

お客様の名前や契約の中身は入れず、「どんな不満だったか」だけを書きます。

実例 04

アルバイトを「正社員として雇うか」迷っている

シーン:アルバイトで長く働いてくれたBさんに、正社員の打診を検討中。雇うべきか?
× ダメな使い方「アルバイトを正社員にすべき?」
  • メリットは安定…
  • デメリットはコスト…
  • 会社の状況によります…
あなたの状況が分からないので一般論しか出ない
○ 良い使い方「私が判断するために、あなたが私に聞くべき質問を10個」
  • 年間人件費は売上の何%?
  • 売上が20%減っても払えるか?
  • 社会保険・退職金の準備は?
  • 本人の将来の希望は?
  • 今いるスタッフへの影響は?
答えられない質問=判断材料の不足。それをそろえてから決断
○ のプロンプト
アルバイトのスタッフを正社員にするか迷っています。私が判断するために、あなたが私に聞くべき質問を10個
実例 05

新人スタッフへの教育が上手くいかない

シーン:入社3か月の新人が契約手続きのミスを繰り返す。指導の仕方を見直したい。
× ダメな使い方「新人スタッフの教え方教えて」
  • 丁寧に説明しましょう
  • 褒めて伸ばしましょう
  • 定期的に面談を…
教科書的な答え。具体的な改善につながらない
○ 良い使い方「うまくいかない指導パターンを10個と改善策」
  • ①口頭だけで伝える → 紙に書く
  • ②一度に多く教える → 1日1つに
  • ③叱るだけ → なぜダメか説明
  • ④放置 → チェックリスト化…
自分の指導スタイルと照らし合わせて改善点を発見
○ のプロンプト
携帯ショップの新人教育で、よくある「うまくいかない指導パターン」を10個と、それぞれの改善策
実例 06

契約手続きのミスが繰り返されている

シーン:同じような契約ミス・書類不備が月に何件も。なぜ繰り返されるのか分からない。
× ダメな使い方「契約ミスを減らす方法は?」
  • 注意喚起を徹底
  • ダブルチェック
  • 研修を増やす…
一般論の羅列。当社の状況に合っていない
○ 良い使い方「根本原因を5段階の『なぜ?』で」
  1. なぜ?確認不足
  2. なぜ?時間に追われる
  3. なぜ?繁忙時に集中
  4. なぜ?人員配置の偏り
  5. なぜ? シフト基準が古い
根本原因が見えれば、シフト基準の見直しという的確な対策が打てる
○ のプロンプト
同じ契約ミスが繰り返される根本原因を、5段階の「なぜ?」で掘り下げて
実例 07

採用面接で何を聞けばいいか分からない

シーン:販売スタッフ候補の面接が来週。何を質問すれば、いい人材を見極められるか。
× ダメな使い方「採用面接の質問教えて」
  • 志望動機は?
  • 強みは?
  • 将来のビジョンは?…
ありきたりの質問。本音は引き出せない
○ 良い使い方「本音と適性を見極める質問を10個」
  • 前の仕事を辞めた本当の理由は?
  • 土日・繁忙期の勤務は大丈夫か?
  • お客様に断られた時どう感じるか?
  • ノルマへの考え方は?…
面接の質が変わる → 良い人材を見極められる確率が上がる
○ のプロンプト
携帯ショップの販売スタッフ採用面接で、本音と適性を見極める質問を10個。表面的でない深い質問を。

応募者の氏名や履歴書の中身はAIに入れません。採用の判断そのものもAIに任せません(AIには偏りがある → 第9章)。

実例 08

法人のお客様への提案資料を作りたい

シーン:法人契約の候補(地元企業)に、当社の強みを伝える資料が必要。何を書くべきか。
× ダメな使い方「携帯ショップの提案資料作って」
  • 料金表
  • サービス一覧
  • 会社概要…
汎用的な資料。相手に刺さらない
○ 良い使い方「相手が重視する5つの観点と、当社の訴求方法」
  • コスト削減 → 最適なプランの提案
  • 手続きの手間 → 一括代行
  • サポート → 専任の担当
  • 端末管理 → 法人向けの管理…
相手の関心事に沿った提案 → 受注率が上がる
○ のプロンプト
地元企業を法人契約の候補とする場合、彼らが通信会社を選ぶ時に重視する5つの観点を挙げて、それぞれに対する当社の訴求方法も

相手の会社名は入れず「地元の〇〇業の企業(従業員30名程度)」のようにぼかします。

実例 09

店舗の接客フローをもっと効率化したい

シーン:来店から契約完了まで時間がかかる。本当に効率的なのか確証がない。
× ダメな使い方「接客の効率化を教えて」
  • 待ち時間を減らす
  • 説明を簡潔に
  • タブレット活用…
常識レベル。すでにやっている
○ 良い使い方「見落としがちな効率化要素を5つ。単純な時短以外で」
  1. 来店前の事前ヒアリング
  2. 書類の事前記入の案内
  3. 待ち時間の有効活用
  4. よくある質問の掲示
  5. 手続きの並行処理
時短以外の観点で見直すきっかけになる
○ のプロンプト
携帯ショップの接客フロー改善で、見落としがちな効率化要素を5つ。単純な時短以外で。
実例 10

新規事業を考えているが踏み出せない

シーン:通信以外の新規事業(でんき・保険の取次など)を検討中。投資も伴う。判断材料が足りない感覚がある。

○ 良い使い方:AIを「経営の壁打ち相手」として使う

STEP 1
自分への質問を作らせる
AIが出した材料
  • 初期投資はいくら必要?
  • 今のお客様に需要はあるか?
  • 人員はどう確保する?
  • 必要な登録・許認可は?
  • 撤退した時の損失は?
STEP 2
反対意見を引き出す
AIが出した材料
  • 本業の接客が手薄になる
  • 固定費が一気に増える
  • 通信とは求められる説明スキルが違う
STEP 3
代替案を出させる
AIが出した材料
  • 端末アクセサリーの強化
  • 中古端末の買取販売
  • 保険の取次
  • 法人契約の開拓
  • 他店との共同販促
STEP 1
私が新規事業(でんき取次)に参入するか判断するために、聞くべき質問を10個
STEP 2
でんき取次に参入する判断の盲点・反対意見を3つ
STEP 3
でんき以外で、当社が収益を広げる選択肢を5つ

AIと対話することで、自分一人では出てこない視点が手に入ります。

実例 11

競合他社の動きが気になる

シーン:近くの競合店が大型キャンペーンを始めたと聞いた。当社はどう動くべきか。
× ダメな使い方「競合に勝つ方法教えて」
  • 価格で勝負
  • サービスで勝負
  • ブランドで勝負…
選択肢の羅列。当社の強みが分からない
○ 良い使い方「価格以外の差別化要素を7つ」
  1. 親身な接客力
  2. 地域密着の信頼
  3. アフターサポート
  4. シニア向けの丁寧な説明
  5. 来店予約で待たせない…
価格競争以外の戦い方が見えてくる
○ のプロンプト
携帯ショップが大型店・オンラインに対抗するために、価格以外の差別化要素を7つ。それぞれメリット・デメリット付きで。
実例 12

事業の次の柱になるアイデアがほしい

シーン:通信の契約だけだとリスクが高い。新しい収益の柱を作りたいが、何をやればいいか。
× ダメな使い方「新規事業のアイデアを10個」
  • カフェ
  • コインランドリー
  • 民泊…
業界と無関係なアイデアばかり。実現性が低い
○ 良い使い方「既存の資産を活かせる新規事業を10個」
  1. でんき・ガスの取次(難易度 低)
  2. 中古端末の買取(難易度 中)
  3. スマホ教室(難易度 低)
  4. 法人サポート(難易度 中)…
既存の資産を活かす視点で考えると、現実的なアイデアが集まる
○ のプロンプト
携帯ショップの経営者として、既存資産(店舗・接客スタッフ・顧客基盤)を活かせる新規事業を10個。それぞれ参入難易度と想定収益も。
実例 13

朝礼で話すネタが毎週切れる

シーン:毎週月曜の朝礼であいさつしている。話すネタが尽きてきた。
× ダメな使い方「朝礼の挨拶作って」
  • お疲れさまです
  • 今週も頑張りましょう
  • 笑顔で接客を…
毎週同じような内容になる
○ 良い使い方「テーマを変えて5パターン」
  1. 接客テーマ
  2. 感謝テーマ
  3. 成長テーマ
  4. チームテーマ
  5. 誇りテーマ
5つ手元にあれば、当面ネタ切れしない
○ のプロンプト
携帯ショップの朝礼で、スタッフのモチベーションが上がる短いあいさつを5パターン。それぞれテーマを変えて(接客・感謝・成長・チーム・誇り)。
この章で持ち帰ることAIは判断材料を出すだけ。決断と責任は必ず人間がする。
この章のふり返り
9AIの注意点と落とし穴何が苦手か知っておかないと痛い目に遭う›
9-1

AIは平気で嘘をつく(ハルシネーション)

HALLUCINATION

もっともらしい嘘。
AIは「分からない」と言わずに、それっぽい答えを作る。

重要な事実は、必ず別に確認する習慣をつける

仕事で出会いやすい嘘のパターン

  1. 01
    存在しない法律・条文「電気通信事業法〇条で〜」と引用するが、その条文は実在しない
  2. 02
    実在しない会社・人物・本「〇〇社の△△氏が書いた本に〜」と紹介するが、検索しても出てこない
  3. 03
    古いデータを最新のように2年前の情報を、最新であるかのように答える
  4. 04
    統計の数字を作ってしまう「業界平均は35%」と言うが、その出典がない
9-2

計算ミス:数学は意外と苦手

AIは「言葉」を扱うのは得意ですが、「正確な計算」は思った以上に苦手です。

  • 3桁×3桁の掛け算で間違えることがある
  • 「1.05×12=?」のような計算でもミスする
  • 「正解です」と言い切られても、必ず電卓で確認する
  • 複雑な計算はExcel・電卓に任せる
  • AIには「計算式の組み立て」を頼み、計算そのものは別のツールで
数字の話は、AIではなく電卓・Excelに任せる。お客様への料金のご案内は、必ず公式の料金表とシミュレーションで。
9-3

古い情報:学習した時点で止まっている

AIは「学習データ」で動いています。その時点より新しい情報は知りません。

  • AIの知識は学習時点(数か月〜1年前)で止まっている
  • 最新の法令・制度・価格は答えられない
  • 「〇〇年の△△は…」と言われても、本当は古い可能性がある
  • 最新情報は必ずネット検索や公式サイトで別に確認
  • ネット検索ができるAIもある(研修時点ではChatGPTの有料版・Geminiなど)が、その場合も出典を確認

「最新」と言われても、AIにとっての最新は、本当の最新ではないかもしれません。

9-4

偏見・バイアス:AIも差別する

AIは人間が書いた文章で学習しています。だから、人間が持つ偏見も学習しています。

  • 性別・年齢・国籍による偏りがある
  • 「営業スタッフは男性」「受付は女性」のような前提が混ざる
  • 「中小企業は遅れている」のような決めつけが出ることも
  • 採用・評価などセンシティブな場面では特に注意
  • AIの答えは「事実」ではなく「一つの意見」として扱う

AIの答えは、AI自身の偏りも含んでいます。

9-5

AIに任せてはいけないこと

  1. 01
    最終的な意思決定AIに「決めて」とは言わない。判断は必ず人間
  2. 02
    責任を伴う仕事クレーム対応・契約締結・人事判断 ── 最後は人が責任を持つ
  3. 03
    法律のアドバイスAIは法律家ではない。重要な法律問題は弁護士へ
  4. 04
    医療・健康のアドバイス体調や安全衛生は医師・専門家へ
  5. 05
    高額な投資の判断AIの助言を鵜呑みにせず、必ず専門家にも相談
9-6

AIを疑う習慣を身につける

研修のあと、必ず次の5つを意識してください。

  1. 事実は別に検索して確認AIが言った法律・数値・固有名詞は、必ずGoogleなどで別に検索
  2. 金額・日付は二重チェック「3月31日まで」と言われても、本当にその日か確認
  3. 出典を聞く習慣「その情報の出典は?」とAIに追加で聞く(出てきた出典も本当にあるか確認)
  4. 複数のAIで比べるChatGPTとClaudeに同じ質問をして、答えが一致するか確認
  5. 自分の感覚で違和感を持つ「これ本当?」と思ったら、必ず確認する
確認用のひと言
その情報の出典は? 確認できるURLや資料名を教えて。分からない場合は「分からない」と答えて。
この章で持ち帰ることAIは嘘をつくことがある。法律・数字・固有名詞は必ず別に確認する。
この章のふり返り
10安全な使い方とルール【最重要】情報漏洩は会社の信用を失う。ここだけは必ず読む›
10-1

入力NG情報:絶対にAIに入れない

無料版のAIに入力した内容は、AIの学習に使われる可能性があります。有料版や「学習させない」設定でも、入力した内容は外部の会社のサーバーに送られます。だから、次の情報は入れません。

01 取引先の名前・契約内容

クライアント様・代理店様・キャリア本部の名前、手数料・契約条件など

02 スタッフの個人情報

氏名・住所・電話番号・口座情報

03 お客様の契約情報

氏名・電話番号・住所・契約内容

04 社内の機密の数字

売上・原価・給与・利益率(獲得件数・実績などの社内の数字も)

05 パスワード・ID

システム・銀行のログイン情報

06 未公開の経営情報

出店計画・人事異動・契約交渉中の内容

RULE

迷ったら入れない。

判断基準:「新聞に載っても困らない情報か?」
10-2

DonGo向けの追加私たちの現場で特に注意すること

DonGoは、複数のクライアント様・代理店様と守秘義務のある取引をしています。現場では次の情報がいちばん身近で、いちばん危険です。

入れてはいけない代わりにこう書く
クライアント名・代理店名・売場(店舗)の名前「クライアントA」「ある家電量販店の売場」
キャリアとの条件・インセンティブ・手数料の金額「手数料が下がった」「条件が変わった」
お客様の氏名・電話番号・住所・契約プラン・端末の情報「60代のお客様」「乗り換えを迷っているお客様」
申込書・本人確認書類・お客様の画面の写真やスクリーンショット写真は送らない。困りごとを文章で、ぼかして書く
獲得件数・実績・売上・給与など社内の数字「先月より少し下がった」「目標に届いていない」
ほかのスタッフの名前・評価・勤怠・トラブル「新人スタッフ」「ベテランスタッフ」

入れる前の3秒チェック

  1. 名前は入っていないかお客様・スタッフ・クライアント様・お店の名前
  2. 数字は入っていないか電話番号・金額・件数・手数料・日付と組み合わさった情報
  3. 写真・ファイルに写っていないか画面の端、書類の一部、ホワイトボードの文字も
うっかり入れてしまったら、隠さずにすぐ社長へ報告してください。早く分かれば、できる対応が増えます。報告したことを責めることはありません。
10-3

取引先情報の取り扱い

取引先の名前・契約内容をAIに入れると、情報漏洩のリスクがあります。

  • 取引先名を「A社」「キャリアB」のように仮名にする
  • 金額は「ある程度の金額」「手数料の相場」と抽象化する
  • 契約条件の固有の部分は伏せる
  • 重要な契約交渉中の情報は絶対に入れない
  • SlackやTeamsなどで機密情報を扱う場合、AI連携の機能を切る(使ってよいかは社長に確認)
取引先の名前と数字は、絶対にAIに直接入れない。
10-4

スタッフ情報・お客様情報の取り扱い

スタッフの情報

本人の同意なしにAIに入れてはいけません。

  • 氏名 →「スタッフA」などの仮名に
  • 年齢・住所などは入れない
  • 給与の情報は絶対NG
  • 個別の勤務評価・処分歴もNG
  • 「新人スタッフ」「ベテランスタッフ」のような抽象化はOK

お客様の契約情報

氏名・電話番号・契約内容は、絶対に入れません。

  • 氏名 → NG
  • 電話番号 → 絶対に入れない
  • 住所 →「都内」「市内」程度に抽象化
  • 契約プラン・端末の情報 → 個人が特定される形ではNG
  • 本人確認書類の情報 → 絶対に入れない
お客様情報の漏洩は、即座に取引停止につながります。お客様にも、クライアント様にも、会社にも、取り返しのつかない迷惑がかかります。
10-5

安全に使う3つの原則

原則① ぼかす

固有名詞・具体的な数字を抽象化してから入力する

原則② 学習させない

設定で「学習に使わない」をONにする

原則③ 検証する

答えを必ず人間が確かめる

この3つを徹底すれば、AIを安全に使えます。ただし①〜③をやっても、10-1の入力NG情報は入れません。

原則① 情報を「ぼかす」

そのまま(NG)ぼかした形(OK)
キャリアの本部の実名キャリアA
年商1億5,000万円年商1億円程度
スタッフの田中さん(実名)中堅スタッフA
〇〇市〇〇区〇〇(具体的な住所)市内のある場所
契約金額250万円数百万円規模の契約

抽象化しても、AIは的確に答えてくれます。具体的な部分は、答えを受け取ったあとに人間が補います。

原則② 学習させない設定にする

  • ChatGPT・Geminiは、設定で「学習に使わない」にできる(手順は10-7)
  • チーム版・法人向けの有料版は、学習に使われないことが多い
  • 設定は研修のあと、5分以内に確認・変更する

設定5分の手間で、情報漏洩のリスクが大きく下がります。

原則③ 答えを必ず検証する

  • AIの出力は「下書き」にすぎない
  • 事実関係(法律・統計・固有名詞)は別に検索して確認
  • 金額・日付は二重チェック
  • 出典が示されたら、その出典まで確認
  • 重要な意思決定の前は、必ず人間が読み直す
  • 送る前・公開する前のチェックリストを作る
「AIが言った」は理由になりません。最終確認は必ず人間。
10-6

そもそも「学習」って何?

AIの「学習」とは、人間が書いた大量の文章を読んで賢くなる仕組みのことです。

  • AIは最初に、インターネット上の大量の文章を読んで賢くなった
  • それに加えて、利用者が入力した内容も「追加で学習」される場合がある
  • つまり、あなたが入力した取引先名・契約金額が、別の利用者のAIの回答に出てくる可能性がある
  • これが「無料版は要注意」の理由
  • 対策は2つ:学習させない設定をする+情報をぼかして入力する

「学習されない設定」を最初にやるだけで、リスクは大きく減ります。

10-7

ツールごとの学習設定

手順と画面の名前は研修時点(2026年5月)のものです。各社は規約や画面をよく変えます。見つからない時は、設定画面の「データ」「プライバシー」「アクティビティ」などの項目を探してください。

ChatGPT の学習オフ設定(研修のあと、すぐに)

  1. ChatGPTにログインブラウザで公式サイト(chatgpt.com)を開く
  2. 設定を開く右上(または左下)の自分のアイコン → 設定(Settings)
  3. データコントロールメニューから「データコントロール」を選ぶ
  4. モデルの改善をOFF「すべての人のためにモデルを改善する」をOFFにする
  5. 反映を確認設定はすぐ反映される。これで学習に使われなくなる

Claude

  • 研修時点の資料では「無料版・有料版とも、初期設定で学習させない」と説明していた
  • ただし、評価ボタンなどで「フィードバック」として送った内容は、Anthropicに送信されるケースがある
  • 規約は改定されることがあるので、Claudeも設定画面のプライバシーの項目を必ず確認する
  • どの設定でも、個人情報・取引先情報は念のため入れない

Gemini

  • Googleアカウントの設定から、学習をコントロールできる
  • Geminiのページ → 設定 →「アクティビティ」へ(または myactivity.google.com で履歴を管理)
  • 研修時点の資料では「ウェブとアプリのアクティビティ」をOFFにすると学習に使われない、と説明
  • 機能が制限される場合がある(検索の精度が下がるなど)
  • Googleアカウント全体の設定なので、ほかのサービスにも影響する点に注意

Googleのサービスを使う人は、年1回は設定を見直す習慣を。

10-8

社内ルールの提案:当社で導入したい運用

研修資料で提案した、社内で定めたいルールです。

  1. 01
    使うツールを統一全社でChatGPTかClaudeのどちらかに統一して使う(混乱を避ける)
  2. 02
    NG情報リストを掲示入力してはいけない情報を一覧にして見える化(10-1・10-2)
  3. 03
    困ったらすぐ社長に相談判断に迷ったら、入力する前に確認する文化を作る
  4. 04
    月1回の使い方共有会「今月使えたプロンプト」をスタッフ同士で共有
  5. 05
    年1回のルール見直しAIの進化が速いので、ルールも定期的に更新する
この章で持ち帰ること個人情報・取引先情報は絶対にAIに入れない。迷ったら入れない。
この章のふり返り
11よくある失敗パターン心当たりがあれば、今日改める›
11-0

研修のあとに必ず出る、5つの失敗

失敗何が起きるか
① 丸投げして自分で考えない「言われた通り」では、AIに振り回される
② AIの答えを鵜呑みにする嘘や古い情報をそのまま使ってしまう
③ ぼんやり質問で曖昧な答え「いい感じに」では、いい仕事はできない
④ 個人情報・取引先情報を入れる情報漏洩は会社の信用に直結
⑤ AIに依存しすぎるAIなしでは何もできない人になってしまう
失敗 ①

丸投げして自分で考えない

こんな使い方「メール書いて」→ そのまま送信。「考えて」→ AIの答えをそのまま採用。
  • AIの答えをそのまま使うと、自分の頭で考えなくなる
  • 「AIっぽい違和感」が出て、相手に伝わってしまう
  • 何か聞かれた時に、自分の言葉で説明できない
  • 責任の所在があいまいになる
こう直す必ず自分の頭で考え直してから使う。AIの答えは「下書き」。必ず自分のものに書き換える。
失敗 ②

AIの答えを鵜呑みにする

ハルシネーション(嘘)や古い情報を、そのまま信じてしまう失敗です。

  • 「電気通信事業法〇条」と言われ、確認せずに使った → 条文が存在しなかった
  • 「相場はこの金額」と言われ、信じて交渉した → 実は古い情報だった
  • 「これで完璧です」と言われると、人は確認をサボる
こう直す事実関係は必ず別に検索して確認する習慣を。数値・日付・固有名詞は二重チェック。「AIが言ったから正しい」は通用しない。
失敗 ③

ぼんやり質問

「いい感じにして」「うまくやって」のような指示では、ぼんやりした答えしか返りません。

  • 「メール書いて」→ 形式的で汎用的なメール
  • 「スタッフ教えて」→ 教科書的な答え
  • 「アイデアちょうだい」→ ありきたりなアイデア
こう直す役割・目的・条件・形式の4要素を必ず伝える(第6章)。具体的な指示には、具体的な答えが返る。ぼんやり質問で時間を浪費しない。
失敗 ④

個人情報・取引先情報を入れる

急いでいる時に、つい入れてしまう。これがいちばん怖い失敗です。

  • 「(キャリアの実名)本部との手数料交渉のメール書いて」→ 取引先名の漏洩
  • 「スタッフの田中さんが…」→ 個人情報の漏洩
  • 「お客様の〇〇様の電話番号は…」→ 顧客情報の漏洩
こう直す急ぎの時ほど、入れる前に「ぼかす」を実行。判断に迷ったら、入力する前に社長に確認。
急ぎの時ほど、慎重に。情報漏洩は取り返しがつきません。
失敗 ⑤

AIに依存しすぎる

便利すぎて、AIなしでは何もできなくなる。長い目で見ると危険です。

  • AIの障害・サービス停止の時に、仕事が止まる
  • 自分の頭で考える力が衰える
  • シンプルな判断までAIに頼るようになる
こう直す1日1回は「AIなし」で考える時間を作る。「AIを使わなくてもできること」を意識して増やす。
AIは「補助」。中心はあくまで自分の頭。
この章で持ち帰ること丸投げ・鵜呑み・ぼんやり・情報漏洩・依存。5つの失敗を、今日から1つずつ潰す。
この章のふり返り
12実習・習慣化・本日のまとめ1週間後、1か月後、1年後の自分のために›
12-1

実習:自分の課題で試す(30分)

自分の仕事の課題を1つ持って、AIと対話してみます。AIと一緒に「考える」体験です。

  1. 今困っている仕事の課題を1つ思い浮かべる
  2. 下の質問テンプレートを使って、AIに問いかける名前・数字はぼかしてから
  3. AIの答えを見て、自分の言葉でメモする
  4. 3人グループで結果を共有する
  5. 「これは使える」と感じたパターンを記録する
12-2

実習で使う質問テンプレート

コピーして、【課題】【判断】を自分の仕事に置き換えて使います。

① 原因を掘る
【課題】の原因として考えられることを10個。可能性が高い順で。
② 盲点を探す
私は【判断】をしようとしている。見落としそうな点を3つ。
③ 視点を変える
【課題】について、顧客・社員・競合の立場でそれぞれ評価して。
④ 選択肢を増やす
【課題】への対処として、私が考えていない選択肢を5つ。
⑤ 自分への質問
私が【課題】を判断するために、聞くべき質問を10個。
12-3

実習は5ステップで進める

  1. 課題を一文で書く例:「スタッフの定着率が低い」「新規契約が増えない」
  2. テンプレート①で原因を10個出させる「【課題】の原因として考えられることを10個」
  3. 上位3つに絞り、対処案を出させる「上位3つの原因それぞれに対する対処案を3つ」
  4. テンプレート②で盲点を聞く「私が決断する時、見落としそうな点を3つ」
  5. 自分で1つ選ぶAIに「どれがいい?」と聞かない。自分の状況に合うものを自分で選ぶ
STEP 3 のプロンプト
上位3つの原因それぞれに対する対処案を3つ
STEP 4 のプロンプト
私が決断する時、見落としそうな点を3つ
AIに「決めて」とは絶対に言わない。自分で決断する。
12-4

グループ共有のしかた

実習のあと、3人グループで次の点を共有します。

  • 自分が取り組んだ課題は何か
  • AIに何を聞いたか(プロンプトを共有)
  • AIの答えで「気づき」があったところ
  • AIの答えで「ピンと来なかった」ところ
  • 結果として、自分の判断はどう変わったか
  • ほかの人のプロンプトで「これは使える」と思ったものをメモ

他人のプロンプトを真似ることで、自分の引き出しが増えます。共有する時も、お客様やクライアント様の情報は話さない・書かない。

12-5

AIは「習慣」にしないと身につかない

HABIT

1週間続けば習慣に、
3か月続けば「考え方」が変わる。

今日学んだことを、明日から使い続ける。毎日少しずつ ── それが研修を無駄にしない唯一の方法
12-6

毎日・毎週・毎月のサイクル

毎日DAILY

  • 仕事で迷ったら、まずAIに「原因の仮説を5つ」と聞く
  • メールの下書きをAIに書かせる(送る前に必ず自分で直す)
  • 知らない用語が出てきたら、すぐAIに質問する
  • 1日1回は「AIなし」で考える時間も作る

毎週WEEKLY

  • 週の振り返りで、AIに「今週の決断の盲点」を聞く
  • 来週やるべきことをAIと一緒に整理する
  • うまくいったプロンプトをメモしておく
  • 週1回、仲間と「使えたプロンプト」を共有

毎月MONTHLY

  • 月ごとの課題を、AIに第三者の視点で評価させる
  • 新しいAIツールを1つ試してみる(入力NGのルールは同じ)
  • 社内で「今月のAI活用事例」を共有する
  • 社内ルール・運用を見直す

小さなサイクルを回し続けることで、AI活用が自分の力になります。

12-7

これから1年で起こること研修時点(2026年5月)の見通し

AIの進化は止まりません。研修時点で予想した1年後の世界です。

  • AIが「電話対応」もできるようになる(音声AIの進化)
  • AIが画像・動画を見て理解できるようになる
  • AIが「自分で作業を進める」場面が増える
  • 携帯ショップでもAIの接客サポートが主流に
  • 「AIを使えない人」と「使える人」の差がさらに開く
  • 今日学んだ「考える力」は、その時代でも通用する
ツールは変わっても、「AIと一緒に考える」姿勢は変わらない。
12-8

当社で目指すAI活用の姿(1年後)

  1. 01
    全員がAIを「日常」で使っている
  2. 02
    事務作業はAIに任せ、人間は「接客」と「判断」に集中
  3. 03
    お客様向けの提案資料を、半日で作れる体制
  4. 04
    スタッフの採用・教育の質が、AI活用で底上げされている
  5. 05
    経営判断のスピードが、競合の2倍
  6. 06
    「AIを使うほど考える人」が育つ会社
技術ではなく「考え方」を変える ── それが当社のAI戦略
12-9

本日のまとめ

  1. AIは「答え」ではなく「考える材料」をくれる丸投げではなく、対話する相棒として使う
  2. 考える力を伸ばす5つの技を使うなぜ?・反対意見・第三者の視点・質問づくり・選択肢の比較
  3. 事業の現場で13の実例を試す退職相談・手数料・クレーム・採用・新規事業など
  4. 「自分で決断」だけは絶対AIに任せないAIに「決めて」とは言わない。判断は人間の仕事
そして、どの使い方でもお客様・クライアント様・社内の情報は入れない(第10章)。
この章で持ち帰ること今日から1週間、仕事で迷ったら必ずAIに「考える材料」を出させる。
この章のふり返り
○×○×テスト(30問)その場で採点・解説・間違いだけ復習›

文が正しければ「○」、間違っていれば「×」を押してください。押すとすぐに正解と解説が出ます。24問以上(80%)正解で合格です。

0 問正解 / 回答 0 / 30 合格 24問以上
テストの回答をすべて消しますか?
    HOMEWORK

    作業を任せるな、AIと一緒に考えろ。

    AIに「考える材料」を出させて、決めるのは自分。
    そして、お客様とクライアント様の情報は入れない。

    宿題今日から1週間、仕事で迷ったら必ずAIに相談する。「考える材料」を出させる癖をつける。
    1週間後の朝礼で、何にどう使ったかを1人1分で共有します。
    お疲れさまでした / 株式会社DonGo